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俺たちに明日はない

「俺たちに明日はある」と歌っていた5人組(当時は6人組)は、今年、2016年で解散してしまいますね。
この歌、結構好きでした。

だからというわけではありませんが、アメリカン・ニューシネマの傑作といわれる映画「俺たちに明日はない」。
原題はBonnie and Clyde(ボニー&クライド)です。
実話を元に描かれた作品ですが、このオシャレ感はきっと実話とは違うのだろうなぁなどと思ってみるわけです。

何がオシャレかといえば、ボニー・パーカー(フェイ・ダナウェイ)。
決して派手ではないですが、着こなしがおしゃれです。おおよそ銀行強盗に行くとは思えぬスタイリング。
彼女がいわゆるアメリカ美人のボン・キュッ・ボンッな感じの体型じゃないことも、オシャレだなぁと思います。

クライド・マロウ(ウォーレン・ベイティ)。
お姉さんがあのシャーリー・マクレーンですもの、それがオシャレというのかどうかはわかりませんが、
やはり色男っぷりがいいですね。「中折れ帽はこうやってかぶるんだよ」のお手本と言ってしまいましょう。

自動車泥棒のクライドがボニーと出会い、銀行を襲います。
初めはスリルを楽しみ、見栄をはりたい、そんなところでした。
C・W・モス(マイケル・J・ボラード)やクライドの兄夫婦も仲間に引き入れ、強盗を繰り返す一団になります。
逃げる途中で人を殺めてしまってからは、強盗殺人犯として追われる一行。
新聞にも取り上げられ、懸賞金がかかるようになる頃から、テンポがぐんぐん増していきます。

二人の男女がただただハッピーな感じではなく、気鬱な風を見せるのもオシャレ、なんです。
自動車で逃げるシーンにはコミカルなバンジョーの音が付き、
母親たちとピクニックするシーンは、絵画を見せられているような感じ。

さて、そんなオシャレなアメリカン・ニューシネマを見ながら、
テーブルの上には、麦チョコをパラパラとひろげてみましょう。
甘いけど、香ばしく、硬くもやわらかくもなく、どこか懐かしい味。
食べ始めるとなんだか後を引いてしまいます。
手のひらにいつまでも握っていては、チョコが溶けるし、放り投げて口に入れるには、ちと小さい。
パラパラしているそれは、物語後半シーンにたくさん登場するものを連想もさせてしまうような。

逃げ続ける一行は、クライドと兄のバック(ジーン・ハックマン)の名字パロウから、バロウギャングと呼ばれます。
注目を浴びた彼らの行きつく先は……。

そういえば、昔、「バローギャングB.C.」というアイドル3人組の映画がありましたっけ。
時を超え、あのタイトルって……そこから来ているのかなと知ったわけで、
ちなみに彼らは、デビューから6年ちょっとで解散したのですから、
前述の5人組は長い活動期間だったことになりますね。

おっといけない、話を作品に戻しましょう。
「俺たちに明日はない」は、日本公開から48年もの月日が流れます。
劇中に「俺たちに明日はない」というセリフは出てきません。
でも、「ボニー&クライド」のままだったら、日本でこれだけ浸透したかどうかはわかりません。

甘くはないけど、絶望的でもないこの邦題が、なんといってもオシャレなのではないでしょうか。
(kuri)

俺たちに明日はない



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リトル・ミス・サンシャイン

題して「なんだか愛おしい系映画」。
こういう作品、人気ありますよね。
「リトル・ミス・サンシャイン」もまさに、「なんだか愛おしい系映画」。

タイトルの「リトル・ミス・サンシャイン」とは、カリフォルニアで決勝戦が開催される
平たく言えば、子どものミスコン。
少女・オリーヴ(アビゲイル・ブレスリン)は、繰り上げ当選で、決勝に出られることになって大喜び。
彼女といえば、コロッとまるっとしたメガネっ子。
いつの世も、メガネっ子は、ちょっとおへちゃの代名詞みたいに描かれてきたけど、
今は子どものメガネちゃんって、カワイイ!の代名詞的に注目されてるよね。

ま、それはそうと、オリーヴの家族、なんともすごい個性の集まり。
筆頭はおじいちゃん(アラン・アーキン)。下ネタばりばりで、言いたい放題、やりたい放題で施設を追い出され、
息子一家のもとで暮らしている。オリーヴはおじいちゃんになついている。
パパ(グレッグ・キニア)は、人生は成功してこそ!と、何においても負けを認めない男。それをネタに本を出すと公言している。
妻・シェリル(トニー・コレット)は主婦、夫との仲は良好とは言えない。
そのシェリルの兄で、作家のプルースト研究者のフランク(スティーブ・カレル)は、ゲイの恋人にフラれ自殺未遂をはかり、この一家に連れてこられた。
そして、何も言葉を発しないオリーヴの兄ドゥエーン(ポール・ダノ)は、引きこもり真っ最中。父を心底嫌っている。

役者が出そろったところで、今回はピタパンを用意。
大人になりたくないネバーランドの少年のことではない。
平べったい半円形のポケットみたいなパンのこと。
そしてこのピタパンにはさむ具材を適当に用意しよう。
トマト、ハム、チーズ、アボカドにレタス、そうそうオリーブも。

家族はオリーヴが出場するリトル・ミス・サンシャインコンテストの決勝戦のために、
ポンコツの黄色いミニバスで、カリフォルニアを目指す。
そう、パンがバスで、具材が家族たちって感じね。

道中いろいろある。笑うし、ハラハラするし、しんみりもする。
さて、オリーヴは、無事にコンテストに出られるのか。そして見事優勝を手に入れるのか!?!?!?

パンに欲張って具を詰めすぎると、食べにくかったり、汁がしみてきたりしちゃうピタパン。
でも、具が足りないと、やっぱりちょっと物足りない。
オリーヴと家族を乗せたミニバスのポンコツぶりに大笑いしながら、大口開けて、全種類の具が入った
ピタパンをほおばりながらお楽しみを!
(Kuri)

リトル・ミス・サンシャイン




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リトル・ダンサー

イングランド北部の炭鉱町。ビリー・エリオットは、父と兄、祖母と暮らしている。
炭鉱夫たちはストライキを実施。
町は、イングランドらしい曇った空に覆われていた。

ボクシング好きの父と、結構やんちゃな兄。
この男くさい二人と暮らすなかで、ビリーは祖母の面倒もよく見るやさしい少年だ。
ある日、ボクシングの練習場が、バレエの練習場と合同になった。
そしてひょんなことから、ビリーはバレエの練習に混じる。


コーチのウィルキンソン夫人を演じるのは、今やハリー・ポッターのモリー役でおなじみの
ジュリー・ウォルターズ。
ビリーを決して甘やかしはしないけれど、彼の才能をしっかり見出して、育てていく。

近年大ヒットしたスキレット(鉄製のミニフライパン)があれば、それを用意。
ここで3カ所斜めに切れ目を入れたウィンナーをジュージューと焼き始めてみたい。
火加減にはくれぐれも注意して!
そうしてしばらくすると、跳ねますよね、ウィンナー。
サイドに固めに茹でておいてざっくりカットしたジャガイモも乗せてみて。
味をつけるなら塩とコショウだけで十分。ジャガイモはちょっと焦げ目がつくくらいでいい。

跳ねるウィンナーと、踊ることにめざめ躍動するビリーが重なって、
なんだか勇気が湧いてくる。
もちろん、なにもかもがスムーズに調子よくいくわけもないけれど、
ビリーの友だちとの、なんだか愛らしいやりとりや、おばあちゃんの存在もあって、
希望もしっかり湧いてくる。

ビリー・エリオットの跳躍は、すばらしきラストにつながっていく。
この素朴な味わいが口の中とお腹を満たした時、心もしっかり満たされているに違いない。
(Kuri)

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八月の鯨

白髪というか銀髪の老女、リビー
口をつけば皮肉ばかり。目が不自由になり、妹に頼らざるを得ない自分をはがゆく思っているのだ。
娘も寄り付かない。
妹のセーラは、姉の面倒をみつつ庭の花を摘み、部屋を整える。亡き夫を今も思いながら。

八月には家の前の入り江から鯨が見えた。「八月の鯨」が。
若い頃の二人は輝いていた。
姉の髪をブラッシングしながら、昔をなつかしみ、今を憂う。
こう書くと絶望しているようだが、彼女たちはそれをゆっくりと受け入れている。
こう書くと達観しているようだが、彼女たちには、やはり抗う気持ちがある。
なんとも人間らしい。
つくづく思う。自分はその時、こんな風にいられるのかと。

映画に出てくる情景はどれも美しい。
目の前の入り江はどこまでもキラキラと輝き、凪いでいるし。
少し散歩に出れば、若い頃、二人の母が植えたあじさいが咲き誇っている。
日本では六月の雨が似合う花というイメージだけれど、八月のあじさいも風情がある。

入り江に向かって大きな見晴らし窓をつけようと提案する妹・セーラに。
「私たち新しいものを作るには年寄りすぎるわ」というリビーの言葉が重い。
そして、この言葉が、物語のラストにあたたかさをじわりと染み込ませてくれる。

テーブルには、全粒粉のビスケットを用意しよう。
その横にはヨーグルトとフレッシュブルーベリーを添えて。
いつどんな来客があっても、出せるのはビスケットくらいのもの。
飾り立てるのではなく、目の前にいる人、目の前にあるものを慈しむことが、
たぶんしあわせなのだよね。

ビスケットを食べると、瞬間、口の中がジュワッとあたたかくなる感じがそれに似ている気がして仕方がない。
(Kuir)

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みんな元気

妻に先立たれ今は一人で暮らす男・父親が主役の映画。
いや、離れて暮らす成人した子ども達も含めた家族が主役の映画。
とりあえず今は答えはいらない。
「みんな元気」

今は広くなってしまった家の主、フランク(ロバート・デ・ニーロ)は、子供たちが久々に集まる週末を心待ちにしている。
最高級の肉を選び、それを焼くためのバーベキューコンロを600ドルで購入してしまうほど。

高級なワインはどれかと店員に尋ねると、「ドイツのフランス産ワインもあれば、フランスからきたイタリアワンもある」という、なんとも皮肉な対応。
それでもフランクはご機嫌だ。

嗚呼、嫌な予感がする。
いや、予感ではなく、確実だ。

案の定、息子や娘から、忙しいことを理由に週末は行けないという、キャンセルの連絡が相次ぐ。
直接もせつないが、留守電に吹き込まれたそれは、あまりにせつない。
だからそんなに張り切ったりしないで、って言ったのに(いや、言ってないが)。

フランクは声を荒げたりはせず、ちょっと眉毛を下げて、困った顔をするだけだ。


せつなすぎるので、テーブルにミルフィーユを置こう。
サクサクとしっとりの組み合わせが絶妙で、キュートなイチゴが乗ったミルフィーユ。

子どもたちが来られないなら、自分が行こう、サプライズで!と思いついたフランクは、持病の薬を持ち、飛行機を避けて、長距離バスで彼らの元を一人ずつ訪ねていく。

ミルフィーユをフォークで食べようとして、お皿をカツンと言わせたりしてしまったことはないだろうか。変に力が入ってしまうのだ。

子どもたちは、父親のサプライズ訪問に困惑する。家族3人、仕事も順調なはずの長女、音楽家の長男、アクターの次女、そして、芸術家になった次男。

ミルフィーユは、一枚ずつ生地をはがして食べると、カスタードとのバランスが崩れる。
バラバラじゃだめなのに。

父親のとった行動と、子どもたちの真実、そして彼らが気づいた思いとは......。

ミルフィーユの正しい食べ方は、倒して横にし、ナイフとフォークで少しずつ切り分けながらがいいのだそうだ。

小津安二郎の「東京物語」へのオマージュとして作られたジュゼッペ・トルナトーレ監督のイタリア映画「みんな元気」を、カーク・ジョーンズがリメイクした今作。
その重なりも、ミルフィーユみたいだ。
(kuri)

みんな元気




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